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釧路地方裁判所帯広支部 昭和46年(ワ)6号・昭45年(ワ)103号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(1) <証拠>によれば、次の各事実を認めることができる。すなわち、(イ)本件事故の発生した場所は、ほぼ東西に走る幅員5.4米の平たんな砂利道(通称南二線通り)と、これにほぼ直交して北側に走る幅員四米の道路および同様ほぼ直交して南側に走る幅員2.7米の道路が、交さくして、その交わる部分が梯形を形ずくつている交差点であつて、交通整理は行なわれていないが、見通しは比較的よく、交通量も比較的少くないところであること、(ロ)訴外梅田は梅田車を運転し、右南二線通りを西方より東方に時速約一五粁で走行し、訴外椋本は原告車を運転し、右梅田車の後方やや右側を、同車に追従する形で走行して、両者とも西側より右交差点に近づいたこと、(ハ)かねて顔見知りの老人(当時七〇才)である訴外梅田が、右折のための合図を何らしなかつたため、訴外椋本は、梅田車が右交差点を直進するものと軽信し、右交差点手前より、時速約二〇粁ないし三〇粁で道路中央に進路を変更して梅田車を追い越す態勢をとり、そのまま右交差点に入つて、そのほぼ中央付近で、原告車を梅田車の右側方にまで進行させたところ、原告車の動静に注意を払うことなく慢然右交差点を右折しようとした訴外梅田の梅田車の右ハンドル部が原告車の左前部に接触することとなり、梅田車は横転し、訴外梅田が転倒して本件事故に至つたこと、以上の各事実が認められ、<反証排斥―略>。(2)右(1)の認定事実によれば、(イ)訴外椋本には、先行する梅田車が比較的安定性に欠けるところのある自動二輪車であり、これを運転する者がかねて顔見知りの老人の訴外梅田であることを覚知しながら、その動静に充分注意することなく、比較的見通しがよく、交通量が少くなかつたとはいえ、軽車両を除き追い越しが厳に禁止されている交差点内においてこれを敢行した点で原告車の運行に関し注意を怠らなかつたものとはいえないことが明らかであるが、(ロ)他方、訴外梅田には、右折の合図をせず、又、あらかじめできる限り道路の中央に寄ることもなく、さらに後続車などの動静に充分注意することなく、突然右折を開始した点において過失があつたものといえ、この過失は、本件査定当時、政府の損害査定基準として過失相殺がなされる場合とされていた被害者の「重大なる過失」に該当し、しかもその本件事故発生に対する寄与の割合は、五割をもつて相当とすべきであるから、(ハ)結局、原告には、訴外梅田の本件事故による損害につき、訴外梅田の過失を相殺して、その残額を賠償する義務があるものというべきである。<証拠>によれば、次の各事実を認めることができる。すなわち、(イ)訴外梅田は本件事故直後芽室町所在の前田医院において、事故による傷病の有無、程度につき診断、検査を受け(レントゲン撮影を含む。)、その結果、右肘部挫傷、右下腿皮下出血、右足背挫傷、右腓骨々折により全治四週間を要すると判断されたのであるが、その後、頭部挫創、頭蓋骨皹裂骨折、右第八肋骨々折、外傷性脳血栓症、心不全などの傷病の症状を呈するようになり、同医院においても、昭和四三年一〇月三一日これら傷病により心筋障害と持続する頭痛、めまいが存し、精神に著しい障害を残して、終生労務に服することができないとの判断を受けるに至つたこと、(ロ)被告はこれら医師の判断に基づいて、これら傷病をもつて本件事故による後遺障害と認め、政令別表第三級三に該当するものと判断して、そのてん補損害額査定の基礎としたこと、(ハ)しかしながら訴外梅田は、昭和四二年六月頃より心不全、脳動脈硬化症肩こり症などの病名で、町立芽室病院の外科、内科に入院(同年七月二六日頃より九月三〇日まで)あるいは通院(その後同四三年四月三〇日まで、同年三月ないし四月においては計一二回の処置処方を受けている。)しており、とくにめまい、頭痛などの自覚症状があつて、その老令であつたことを加味すると、訴外梅田は本件事故発生前においても、すでにその労働能力がかなり減退し、自動二輪車を利用して集金を行なうなど比較的軽い仕事に従事できるにすぎない状態であつたこと、(二)従つて、前記政令別表第三級の後遺障害と判断された傷病、症状のなかには、本件事故によりはじめて発生したと推定されるもの(例えば、右腓骨々折など)も存するが、本件事故前より存していた病気が本件事故の結果悪化したものと推定されるものが多いこと(さらに本件事故により悪化したものとの推定がかなり困難なもの(例えば、心不全など)もないではないこと)、<反証排斥―略>。(2)右(1)の認定事実によれば、(イ)訴外梅田の本件事故による後遺障害の有無、程度については(本訴審理の段階においてもなお労務に服しえない状態であるかどうか疑問なしとしないが)、本件査定当時においては、これを全体的に観察すると、政令別表第三級三に該当する後遺障害があつたと判断するほかないが、(ロ)訴外梅田の本件事故発生前の疾病の症状も、政令別表の区分に従えば、その第九表一三、一四に準じた状態であつたと推認するのが相当であるから、(ハ)結局、本件事故による損害の一部である後遺障害に対する慰藉料は、その基礎を当時の政令別表第三級の限度額金二三五万円から同第第九級の限度額金七八万円を減殺した金一五七万円とすることが適当である。 (堀内信明)

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